【読書メモ】働く女子と罪悪感(浜田敬子 さん著)

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正月に主人の実家から帰ってきてすぐ、子供達も寝静まってしまったので、年末にNewsPicksで紹介されてて気になった浜田敬子さんの著書「働く女子と罪悪感」を開いたら、人間らしさと迫力のある内容に引き込まれ、一気に読了してしまった。

(もう一つ読んでいる『「イノベーションのジレンマ」入門』はすっごい時間かかってるのに・・・)

働く女性に、その周りの人に、時間制約がありながら働く人に、読んでほしい内容

女性でありながら働くことに少しでも苛立ちや罪悪感や働きにくさを感じた人には読んでほしい。そして女性に限らず、自身や家族の病気や介護など、時間的、物理的制約がありながら働きたいor働いている人にも刺さる内容に思う。
今より、もっと女性が働きにくかった均等法施行直後の時代から今までを経験している著者が書かれた本だが、今30代の自分が読んでも共感するところが多い。
著者が朝日新聞社に採用になってから記者・副編集長を経て・初のAERA編集長になり、現在のベンチャー企業の立上げに至るまで、30年にわたるストーリーを追体験しながら、自身の心の澱になっていたものに光を当て、代弁してくれているかのようなカタルシスを得る。

男性社会での働きにくさを、ある意味「克服」してしまった著者だが、喉元過ぎれば熱さを忘れて、「だからあなたも克服しなさい」という風潮には警笛を鳴らす。性別を問わずに「こうあるべき」の呪縛から自由になり、罪悪感を持たずに「働くって楽しい!」と言える世の中になってほしいという願いと、そのためのヒントがちりばめられていた。

女性だから女性らしい案件を任されることへの抵抗

AERAでは「女性の働き方」「仕事と子育ての両立」などの特集を扱うことになる著者だが、それ以前は女性を感じさせないように働いていたという。
「働く女性」をテーマにしたような「女性記者っぽい」のネタをふられることに対する気乗りのしなさを感じていた、政治や事件など、男性と同様の案件を扱いたいという想いがあったという点は、私自身もここ数年、分野は違えどWEB制作者としてのスタンスに近いものを感じた。
対外的なやりとりでは女性らしさを消し、男性と同等にアウトプットを出にはどうすればいいかという事を考えた1つの結果が、自社で導入している柔軟な働き方(リモートワーク・時間の融通)である。

一方、ここ数年、意外に「子育てしている」ことを表に出すことで、対外的にはむしろ好印象を得ているような節もあり、もう少し表に出していってもいいのではないかと思っている
社内的なしがらみさえなければ、役職のある男性も子育て経験世代が多いわけだし、子育てをしている人に共感と応援の気持ちを持っている人も少なくない。

女性の管理職を増やすことについて

女性の管理職を増やす以前に、普通の社員として働き続けられる女性を増やすことが大事と巷ではよく議論される。これに対して、著者は女性の働きやすさ自体にも触れた上で、自身の管理職経験を踏まえて、あえて女性も管理職にチャレンジして欲しいというメッセージを発している。

女性向けの講演で、自信の無さゆえに、管理職になりたくない、避けて通りたいと思っているであろう彼女たちに、
「例えば、あなたが自分よりも経験がないと感じる同期や後輩の男性が自分の上司になったら、どう思いますか?」
と投げかけ、口惜しさをイメージしてもらうという節には衝撃を受けた。
私自身、年上女性のお客様が以前「私よりも成績の悪かった男性たちがどんどん昇進していったのよ。」と語って聞かせてくれたときの歯がゆさを思い起こす。

義務教育から大学までは、男性と同様に教育を受け、同じ基準で評価されてきたのに、社会に出て突然「女性だから」を押し付けられ、男性が当たり前のように登っていくルートから外される事の違和感は無視できない。はしご外しにあったような驚きに近い。

男性が能力があってもなくても、年功序列で役職につけるとすれば、仮にある能力のない男性と、能力があるが時間成約のある女性の2人がいたとして、後者が役職につかないのは会社にとっても不利益である。時間成約がマイナスにならないような合理化を図り、能力ある女性が役職にたつことは、会社にとってもプラスの場合もあるだろう。(もちろん能力の高い男性もいらっしゃる)

トップに立つことの喜びと、解消すべき不安

トップに立つことで人事権や裁量権があり、企画をだれにNGと言われることもなく、同時並行して進めて世に出していけるダイナミックさがあり、自分で決められない立場とのスピード感の違いがあること。
そのために縦のネットワークを築きにくい女性は、横のネットワークを構築し、活かすとよいという具体的アドバイスも述べられる。

トップになると、時間制約のある子育て中の社員に対して配慮する部署の雰囲気を作れるようになるかと言えば、確かにそれも可能になるのだが、同時に、独身や子供のいない社員への負担の偏りにも配慮しなくてはならない難しさにも触れられていた。

また自身が、部下である子育て中の女性社員を副編集長のポストに抜擢するにあたっては、「チャレンジしたくないわけではないけど、やはり時間成約による両立が不安」という彼女にし対して、「締め切りのある木曜と金曜はシッターを雇ってほしいが、その他の週はお迎えまでに帰れるよう、部署のメンバーにも掛け合って協力する」という提案と約束をしたという。女性を管理職にするには、会社も本気で彼女が役職を全うできるようにする決意と、仕組みづくりが必要なのだ。

フラットで風通しの良い社風を作るには

著者が新たに立ち上げから携わっているベンチャー「ビジネスインサイダージャパン」は、フラットでオープンな社風で、リモート勤務&Slackを活用して、様々なライフステージの人がいて且つ少人数で回せる体制作りをしているということが巻末にさらっと触れられていた。

子育てによる「場所と時間の制約」が支障となるのは、もううんざり!

いわずもがなだが、因習の無い組織をゼロから作る方が、因習の根付いた組織を変えるよりたやすい
私自身もワーママ中心のリモートワークの会社をしているけれど、子育てによる「場所と時間の制約」が支障となるのは、もううんざり!だから、それらが支障とならない会社を作ろうと心に決めた節がある。
最初から「子供の送迎あり」「夕飯の支度あり」「時短OK」というのを前提にメンバーの働き方を組めば支障は出ないはず。そしてありがたいことに、今のところ支障は出ていない。
時短については、うちの時短さんは採用時から時給制の時短なので、彼女らの存在はプラスでこそあれ、それをカバーする人の負担という発想はほぼない。

(追記)正社員さんを時短にするときは、給与をどう計算するのか、(アウトプットベースなのか、時間ベースなのか)という問題が生じるとは思っていて、労働時間の変化と成果の変化を個々に見守って、上長が判断するという、サイボウズの取り組みなどが参考になると感じている。

まだ時間制約でくすぶってるの?

「時間制約があることで”罪悪感”を抱かなくてもいい職場、それが理想だ。」
「一番大切なのはその人が一番働きやすく、結果を出しやすいように働いているかということ」
という著者の主張には、大きく鼓舞された。
むしろ、数年、ライフステージに合理化した働き方を続けていると、それが「当たり前」と言う感覚に思えてくる。本当はそれが当たり前と思うくらい、社会に浸透すべき働き方なのかもしれない。
世の中に対して「まだ時間制約でくすぶってるの?」と誰か風に言えるくらいになりたい。まだそんな勇気はないけど。

働く女性が直面するトピックの網羅性がすごい!

働く女性が直面するトピックに、漏らすことなく触れられていると言う印象を受けた。

  • 夫が罪悪感の源泉になっているケース(夫自身の無理解が問題の場合と、妻側が思い込みで罪悪感を抱いている場合など)
  • 朝9時から夕方6時までの定時で勝負しているのに一定の成果をあげて注目を浴びた女性記者のケース
  • 著者自身は地方から両親を東京に呼んで子育てをアウトソースをすることで乗り切ったことと「バリキャリ」と言われることへの抵抗感
  • 10年おきに女性の働く意欲や働き方のスタンスに違いがあること

などなど、興味深いトピックが尽きず、ここにはとても書き切れない。

読後感も大変よく、あとがきを読みながら、夜、はみ出した仕事をしにスタバに行こうとする私を引き留める下の息子たちを「ママお仕事だからね」とたしなめる長女の姿がオーバーラップして目頭が熱くなった。

気になった人は、是非とも手に取ってみてほしい。

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書いた人
めぐ茶めぐ茶
Web制作とシステムの会社をやってるワーママ社長です。
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