【読書メモ】マーケティングの仕事と年収のリアル(山口 義宏さん著)

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久しぶりに本を読了した。

マーケティングの仕事と年収のリアル
山口 義宏
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 1,304

タイトルだけをみると、こうすれば給料が上がってお得だよというようなノウハウ本なのかと思いきやとんでもなかった。

業界を横断的・縦断的両方の視点で俯瞰し、キャリア構築におけるあれこれをバランスよく体系的にまとめる、筆者のスマートさと見識の広さ・深さを感じる内容だった。
また、読者が個々人の特性・気質や価値観に応じて、「真に幸せなキャリア構築」を「戦略的」に行うあたって、適切な手がかりをえられるようにという配慮が行き届いた、誠実さを感じられる内容であった。

マーケティングのキャリアには6段階がある

本書ではマーケティングのキャリアにおけるステージが6段階で示されている。

ステージ1:見習い
ステージ2:特定業務の担当者(ワーカー)
ステージ3:特定領域の専門家(スペシャリスト)
ステージ4:マーケティング施策の統合者(ブランドマネージャー)
ステージ5:ブランド・マーケティング全体の責任者(CMO)
ステージ6:マーケティングに強い経営者(CEO)

それぞれのフェーズで目指すべき水準、読むべき書籍や取り組むべき内容について触れられている。
育成者の立場からのアドバイスがかかれていることも有益だった。
たとえば、ステージ1の見習いの部下にとって、議事録作成は、実力を見極め、フィードバックによって育てる優れた実践タスクである。
と言う具合に。

ステージ4以降のマネジメントに進むかどうかは、年齢でいえば30代が岐路になる

スペシャリストとして頭打ちになる不安を抱える30代。
スペシャリストでい続けるのも一手だが、マネジメントにシフトするときには、
マネジメント候補とみなされる要件として、「経歴シグナリング」「ヒット施策の実績」「PDCAサイクル基盤をつくった実績」のいずれか、または複数の要件を身につけよとのこと。

なお、30代後半~40代前半になると採用ニーズはマネジメント層にシフトする傾向がある。
また、日本ではマネジメント職である4、5の職種を定めている会社が多くはなく、特に5、6になるとポジションは減る。

「事業会社」か「マーケティング支援会社」か

また、キャリア構築を行なうフィールドとして「事業会社」「支援会社」それぞれの性質にも焦点を当てている。

事業会社では知識やスキルは評価対象になりにくく、この「事業として施策投資し、利益回収する」マインドやスキルが求められる。
マーケティング支援会社で評価を得るには、ビジネスモデルの指向を知ることが早道。
それぞれの性質を見て、どちらが自身に合っているのか見極ることも大事。

「事業会社」「支援会社」それぞれを主軸にキャリアを構築していくにあたって、
下記の大枠の中で、更に細分化された7つのキャリア構築方法が書かれていた。

・A事業会社を軸としたキャリア構築
・B支援会社を軸としたキャリア構築
・ABを行き来するキャリア構築
・その後、最後は独立(フリーランスor経営者)

独立を目指すときは

個人のフリーランスとして仕事を請け負う場合、留意すべきは価格のディスカウント。
「正価で仕事が来ないのであれば、そもそもフリーランスとしては食べていけない、というくらいの割り切りと覚悟をもって価格交渉に対峙しましょう。」
というのは経験則からも仰るとおり。

経営者として独立するのに必要なのはマネジメント経験。
大手事業会社を顧客としたBtoB事業を展開するなら、独立までに大手を顧客とする経験または、大手の中で働く経験をすると、お作法がわかってよいと記されている。

より良いキャリアって?

「一流」「ブランド」と呼ばれる会社での職歴を付けるパターンも本著には手段として書かれているが、必ずしもそれが必要という主張はされていない。

「より良い」にはキリがない。

ブランド力のある会社、年収、高い役職など
世の中一般的な目線で求める人が大半だが、「より良い」にはきりがない。
水準が上がるほど手に入れられる人はわずかであり、
手に入れてても心が満たされないままの人すらいる。

「世間的には有名会社で出世していても、幸せそうでない人はいますし、逆に無名の会社で出世していなくても、とても幸せそうな人はいます。
多くのビジネスパーソンと付き合ってきましたが、幸せの大小は、あるレベルを超えると、必ずしも所属企業、年収、役職とは比例しません」
と、筆者は自身の経験から語っている。

幸せは主観的な物

幸せは主観的なものなので、自分に対する期待と実状とのギャップによって形成される。

ざっくりいうと
期待<実態 なら幸せ
期待>実態 なら不幸
ということになる。

大切なのは、理想に向かって努力するのみならず、自分の価値観・気質に合う選択をすること

自身にあったキャリアを構築するにあたって、下記のポイントが非常に心に残った。

・キャリア構築がうまい人とは、世間体やブランド力で会社や仕事を選ぶのではなく、常に次の次を見据えて選択できる「戦略」をもった人
・大切なのは自分のスキル・特性を知って磨くだけでなく、価値観や気質のようなものを知り、それに適した環境に身をおくこと
・自分なりの幸せ(と、避けたいストレスのある状況)をしっかり定義し、それに沿った選択をすること
・自分の価値観や特性を知ることは難しいが、ある程度の経験を積むと、楽しく成長できて成果が出た局面と、辛くストレスが溜まり成果が出なかった局面を対比すれば、自分の適性もわかる(その直視を邪魔するのは、自分のつまらないプライドだったりする)

幸せなキャリア、幸せな人生を送るには、自分の理想を掲げ、未来に向けて努力するだけでなく、自身の価値観や気質を認め、現実も受け入れること。このバランスを冷静に取り続けることが大事なのだと述べられている。
これはマーケティングのキャリアのみならず、キャリア構築全般に言えることだと感じた。

終わりに

主に雇用されてキャリアを構築していくひと向けの本だが、自身が経営者として組織をつくり、人を採用していくシーンで、どのようなキャリアパス、ポジション、報酬形態を作るべきかという視点でも非常に参考になることが多く、何度も振り返って読みなおしたい内容だった。

私個人のキャリアという視点では、「学歴はあるけど、若いうちにブランド企業に入りそびれたポテンシャルのある人」という、大企業への転職カードは30代後半くらいから使えなくなると言ったことが書かている節があったが、まさにここ数年自分が葛藤している所にとどめを刺される。
本来の価値観、気質的には、王道のブランドに乗るキャリアを歩みたいところだったのだけれど、ここに「子育て」「家庭責任」「田舎の両親」といった要素が加わると事情が変わってくる。本来はもうすこし大企業でのマネジメント経験、お作法の経験を身につけてから起業したかったのだが、大企業のほぼない地方在住で家庭責任があるので、都会の大企業への就職カードは捨てざるをえない。

なので、経営者になりながらも、自分への期待値と実態のギャップに、ときたま不幸な気持ちになりがちな自身にとっては、そのメカニズムが明らかになるとともに、地に足のつかない理想像に振り回されることなく、自分の価値観・気質、現実を直視せよと言われた気がした。
ただ著者によると、独立キャリアを歩む人には、経歴のブランドはそこまで必須ではないとのことで、社として信頼を得、お客様に価値を提供していくには、当たり前のことだが何より目に見えた実績・成果を出していくことに注力したい。そして、マネジメント経験の不足においては、自助努力で勉強するのみならず、その経験のある社員に助力を得ることなど、現実的な補填策をとっていきたい。

何よりもコミットメントの高さ、言うなれば成果への執着心が大事

あとがきの内容には著者に対する深いリスペクトを覚えるとともに、身の引き締まる思いがした。

「ビジネスの現場で周囲から信頼を得て、成果を出す上で大切な要素は、
何よりもコミットメントの高さ、言うなれば成果への執着心である。」
「成果が出ないとき、スキル・知識の不足に求めない。
執念深く思考して実行するというコミットメントの不足に原因があることは多い。」
と言うところが印象的だった。
もちろん常々、学ぶ事は大事なのだが、自身においては、成果を出すためにコミットメントする(思考・行動する)その過程で、必要と思われるスキル・知識を、集中的に補って、現場で役立つものにしていく感覚があったが、このアプローチも間違いではなかったのだと後押しをいただいた気がした。

スタバが閉まるので乱文ですがこのあたりで。。。

マーケティングの仕事と年収のリアル
山口 義宏
ダイヤモンド社
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「マーケティングの仕事と年収のリアル」記事一覧(ダイヤモンドオンライン) https://diamond.jp/category/s-marketingreal

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書いた人
めぐ茶めぐ茶
Web制作とシステムの会社をやってるワーママ社長です。
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